外国人投資家が好む日本企業は買いなのか?投資初心者もマネしたい投資先(その他製品)⑪・・・アシックス (7936)

外国人投資先特集

 みなさん、こんにちは😃

 本企画11回目は、アシックスです。

 アシックスと言えば、東京オリンピックで日本の選手たちが着ていたかっこいいスポーツウェアを思い出します。

 派手すぎず、大人しすぎず、なんとも言えないカラーがとても印象的でした。

出典:アシックスホームページより

 さて、本企画は、投資初心者が株価が上昇しそうな企業を選ぶのは経験がないだけに大変なため、投資先を選ぶ時に何か目安のようなものはないか?伸びそうな企業あればそのままマネして投資してみてはどうか?といった個人的疑問から始めました。

 今回は、日本を代表するスポーツメーカーのアシックスですが、外国人投資家の投資割合が高く、投資先として注目されていることが分かりました。

 それでは早速、どのような企業なのか見ていくことにしましょう。

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外国人株式保有割合は42.7%

 この表は、日本証券所グループが2021年7月に発表した、2020年度株式分布状況調査結果です。

 赤枠のその他製品の外国人の株式保有割合は、2019年の37.0%から2020年は39.3%と2.3%プラスになっています。

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  その他製品業界の2020年度の外国人株式保有割合の平均が39.3%に対し、アシックスの外国人保有比率は42.7%と平均を越えた数値となっております。

 東京オリンピックを控えた時期の保有比率であるため、スポーツの需要増加を見込んだ結果なのかもしれません。

出典:アシックスホームページより

投資指標分析

  独自に作成した表に基づき見てみていくことにします。

1.PER・・・81.86倍

日経平均の14.2倍に対し、5.7倍の高い予想となっています。

・これは、前年度は新型コロナウィルスの影響で、当期利益が▲161億円の大幅に減りましたが、今季は欧米等でのワクチン接種が進んだこと、オリンピックに触発され個人消費が爆発的に伸びていること等で、今季末の売り上げが大幅な増収増益見込みとなっていることが、株価が高くなっている要因と考えられます。

これを裏付ける株価の動きとして、2020年から今現在、株価は四倍に跳ね上がっています。

出典:ヤフーファイナンスより

2.PBR・・・3.66 倍

・直近の日経平均PBRが1.31倍なので、約3倍の値となっています。これも株価増加が要因で、企業価値が資産の3.6倍あるということになります。

・外国人投資家の保有比率も高いので、世界中から価値ある企業と認められていると考えられます。

3.ROE・・・4.5%

・ROEは日経平均を下回る4.5%です。これは、PERが高いためで、今季の利益予想に対して、株価が過度に高いことを意味します。

・今季のアシックスの大幅な売上増加に対して多くの投資の熱狂的な期待が株価に反映しているものと考えられます。

・配当予想が0.8%と低いのですが、前年度の設備投資が84億円、減価償却費が137億円、開発費が46億円のため、アシックスでは設備投資に関係する費用と支払に資金を優先しているようで、ナイキやアディダス、ミズノなどと言った世界的なスボーツメーカーとの競争で、投資家には配当金より、業績を少しでも上げて、株価で還元したいと考えているのかもしれません。

4.売上、営業利益、経常利益等

・アシックスの第二四半期(1月〜6月)実績から見た8月13日決算発表での今季の業績予想については、売上、営業利益、経常利益、当期利益、総じて前年比プラス予想となっています。

出典:アシックス2021年第二四半期報告より

・2021年の第二四半期決算報告書を見ると、デジタル、所謂、全世界におけるECの売上高では、前年同期比で日本+49%、北米+19%、欧州+57%、連結+36%と大幅に増加しました。

・また、パフォーマンスランニング部門の売上高は、前年同期比50%以上の増加となりました。これはトップランナー用のスペシャルスポーツシューズで、自己記録更新を連発している商品のようです。

・オリンピックを控えたスポーツ需要にも載って海外を中心に売上は激増したようです。

※以下がトップアスリート用に開発されたメタスピードスカイ。靴底が暑く、かかとが削れ、あまり見たことがない形です。4タイプほど種類があるようです。

出典:アシックスECサイトより
出典:アシックスECサイトより

・このほか、オニツカタイガーの売上高が、前年同期比34%の増収となったとのこと。

・オニツカタイガーとは、アシックスの前身で、創設者の一人である鬼塚喜八郎が代表を務めたオニツカ商会が販売していたスポーツシューズのブランドです。

・2002年に洗練されたスタイルを求めてスポーティなファッションブランドとして復刻したブランドを展開するカテゴリーとのことです。ヨーロッパを中心に海外のブランド展開で売上を伸ばしているようです。

※下の画像は、オニツカタイガーECサイトのウィークリー売上ランキングです。どれもなんとも言えない渋さがあり、一度は履いてみたい気がします。

出典:オニツカタイガーECサイトより

・アシックスの今季売上増加の要因は、まさに東京オリンピックであり、大きなイベントなどが売上に大きく貢献し、継いでは、株価にも影響するものと改めて気付かされます。

5.事業別売上について

 事業別の売上では、パフォーマンスランニング事業が売上の半分を占めており、事業の柱となっていることが分かります。

出典:アシックスホームページより
出典:アシックスホームページより

 パフォーマンスランニング事業とは、ランニングシューズを販売する部門で、アシックスの主軸事業となっています。

 主軸の割合が約50%と多いものの、他の事業も育ってきているので、事業のリスク分散という意味では、全てが均等の売上になってくれば、盤石な事業体制になっていくものと考えられます。

6.地域別売上高について

出典:アシックスIR資料より

 アシックスの地域別売上高を見ると、海外比率が7割を越えており、国内は1/3の割合となっています。

 アシックスは海外実績が高い国際企業なんですね。知りませんでした。

 オニツカタイガーブランドが、海外で人気なのも納得できます。

歴史について

 アシックスの歴史を簡単にご紹介します。

 1949年(昭和24年)戦争から戻った鬼塚喜八郎によって神戸市に鬼塚商会を創業、その後改組して資本金30万円、社員4名の鬼塚株式会社を設立します。

 鬼塚喜八郎が感銘し後に、アシックスの由来となった言葉・・・「もし神に祈るならば、健全な身体に健全な精神があれかしと祈るべきだ(“Anima Sana in Corpore Sano”)」という帝政ローマ時代の風刺作家ユベナリスの言葉は、兵庫県教育委員会保健体育課長の堀公平氏が、鬼塚氏から事業の相談を受けたときに例えに出した言葉と言われています。

 なんかドラマチックな感じです。

 そして、アシックスのホームページによれば、鬼塚喜八郎は以下のような思いを抱いてスポーツシューズの開発を決意したとありました。

スポーツは健全なる心身を育成していく最良の方法だと知った。戦後の混乱期のその時、すさんだ青少年たちを早く立ち直らせるためにはスポーツが役立つに違いない、そしてその普及こそが自分の務めだと感じた。

 そこで靴屋を始めようと思った。なぜ、靴屋だったのか。靴はあらゆるスポーツに欠かせないと思ったからだ。当時はたいていのスポーツがズック靴か地下足袋で代用されていた時代だった。青少年が全力で打ち込み記録が伸びるようなシューズが必要だ。使命感に目覚めた。しかし、やみくもな思い込みだけだった。どんな靴がスポーツに合うのかわからない、まったくの素人だった。

出典:アシックスホームページ、鬼塚喜八郎「失敗の履歴書」より

 身一つで何も無いところから、強い使命感に燃えて創業する意思とはこういうものなのか、と思い知りました。

 現代社会は、貧富の格差は広がっているとは言え、不自由のない環境に恵まれているためか、ハングリー精神のようなガツガツした気持ちが疎まれる世界になっているような気がします。

 戦後の復興時は、社会が混乱しており、少しでも世の中を良くしたいと思う人達が多かったのかもしれません。

出典:アシックスホームページより

 創業後、初めて手掛けたのがバスケットボールシューズです。

 当時の鬼塚喜八郎の回顧録は以下の通りです。

初めてつくったのは、バスケットシューズだった。ある高校の監督からの依頼だった。新しい仕事への挑戦に心がときめいた。仕事場にこもり、見よう見まねで、連日深夜まで作業をしてなんとかカタチにした。しかしそのシューズを監督に届けると、わらじのようだと床にたたきつけられた。

練習場で球拾いしながら、選手の足を見ながら、選手ひとりひとりから意見や注文を聞きながら、改良に改良を重ねた。しかし、グリップの悪さだけはどうにもならなかった。

 夏のある日、母親が夕飯にキュウリの酢の物を作ってくれた。その時、皿の中にあったタコの足の吸盤に目が止まった。

 この原理を靴底に応用すればいいかもしれないと思った。そして吸着盤型のバスケットシューズが生まれた。しかしそのシューズは、グリップが効き過ぎて、ひっくり返る選手が続出した。吸盤のくぼみを浅くして、ようやく、急発進、急停車どちらも可能な鬼塚式タイガーバスケットシューズが完成した。

出典:アシックスホームページ、鬼塚喜八郎「失敗の履歴書」より

 開発秘話はいろいろありますが、バスケットボールシューズの吸盤が、タコの吸盤から思い立ったとは・・・悩み抜いたとき、天からアイデアが降ってくるエピソードはよくありますが、このエピソードもなかなか胸を打つものがあります。

 1977年(昭和52年)に、シューズ会社、スポーツウエア会社、ニットウエア会社の三社が対等合併し、アシックスが誕生します。

 このエピソードは知りませんでした。

 三人寄れば文殊の知恵と言いますが、一人や二人ではなかなかうまくいかない場合でも、三人目の知恵や視点が加わることによって互いに刺激し合い、当初は思いもよらなかった発想が浮かんで、いろいろな問題を解決できる場合があります。

 まさに、アシックスは三者の力で成長した会社と言えます。

 1985年にスポーツ工学研究所が設立されます。

 スポーツ工学研究所ではどのようなことが行われているかというと、以下のような研究です。

出典:アシックスホームページより

 スポーツシューズやウエアを作る際、人間特性に関する研究というのは、現代では普通と考えられますが、鬼塚喜八郎がバスケットボールシューズの次に取り組むことになった、ランニングシューズは当時、豆ができることが当たり前の世界だったようで、長距離ランナーは足にかなりの苦痛を伴っていたようです。

 それを改善しようと思案中、タコの吸盤のごとく、風呂上がりの足を見て思い立ちます。

 そのエピソードが以下の内容です。

次はマラソンシューズの開発に没頭した。走るとマメができて当然。マメを克服してこそ一流という時代だった。しかしマメができないシューズがあれば、もっといい記録ができるはずだと考えた。当時のトップランナーに「そんなシューズができたら逆立ちしてマラソンしてみせますよ」と言われた。

 さっそくマラソンに関する文献を貪り読んだ。欧米の研究書や日本の特許もくまなく調べた。しかしまだ科学的に研究されていない時代であり、答えはどこにも見つからなかった。

ある日風呂場で何とはなしに自分の足をながめていて、はっと気がついた。人間のカラダのことは靴屋がいくら考えてもダメだ。肉体のことは医者がいちばんよく知っているにちがいないと大学の医学部の教授のもとへ走った。マメは火傷の現象と同じだということを知った。衝撃熱を冷やし、足の裏の炎症をいかにして軽くするかという具体的な課題を得た。そしてヒントは意外なところにころがっていた。タクシーに乗った時、エンジンが加熱して動かなくなってしまったのだ。運転手がラジエーターに水を補給するのを忘れていたことが原因だった。その時、足も水で冷やせばよいと思った

 シューズの上部に目の粗い布を使い、前と横に穴をいっぱいあけて風通しをよくした。着地した時、熱い空気が吐き出され、足が地面から離れると冷たい空気が流れ込むという空気入れ替え式構造のシューズができあがった。

逆立ちしてマラソンしてみせますよと言った選手に試してもらった。30 キロではほとんど異常はない。42.195 キロ完走しても、足の裏は少し赤くなった程度で、とうとうマメはできなかった。その選手は信じられないという表情でいつまでも自分の足をながめていた。

出典:アシックスホームページ、鬼塚喜八郎「失敗の履歴書」より

 人間の体の仕組みを知ることで、シューズを改良する。

 次から次へと壁を乗り越える知恵は、このような観察力と努力から生まれるものなのだとつくづく関心するエピソードです。

 今から40年以上前に、人の体の仕組みをスポーツに取り入れる研究所を作る。

 アシックスという名前に詰まった思いが作った研究所だと思います。

 今から14年前の2007年に、鬼塚喜八郎は89歳のチャレンジに満ちた生涯を閉じますが、アシックスのホームページの説明で、以下のように書かれていました。

鬼塚喜八郎は、毎年新入社員を前にして、古代から近代へと引き継がれたスポーツマン精神の5 か条を、いつも声高らかに読み上げていた。

(第1条)スポーツマンは、常にルールを守り、仲間に対して不信な行動をしない。

(第2条)スポーツマンは、礼儀を重んじ、フェアプレーの精神に徹し、いかなる相手もあなどらず、たじろがず、威張らず、不正を憎み、正々堂々と尋常に勝負する。

(第3 条)スポーツマンは、絶えず自己のベストを尽くし、最後まで戦う。

(第4 条)スポーツマンは、チームの中の一員として時には犠牲的精神を発揮し、チームが最高の勝利を得るために闘わなければならない。そこに信頼する良き友を得る。

(第5 条)スポーツマンは常に健康に留意し、絶えず練習の体験を積み重ね、人間能力の限界を拡大し、いついかなる時でもタイミング良く全力を発揮する習慣を養うことが必要である。

戦後の混乱期、スポーツの意味することが、これからの生活、社会、ビジネスなどのあらゆる場面に必要になると感じた鬼塚喜八郎。人間の価値基準や行動基準が変わり、人々が穏やかな気持ちで過ごすことが困難になりつつある昨今、ここで定義されているスポーツマンは、確かに、現代を生きるすべての人の道標になると思う。そして、ここに新たな条項をひとつ、加えたい。

(第6 条)スポーツマンは、ころんだら、起きればよい。失敗しても成功するまでやればよい。

今一度、あなた自身の人生に置き換えて読んでほしい。

 アシックスのホームページのこの文書を読んで、考えさせられました。

 わたしたち現代人が忘れている何かが、この文章にあるような気がしました。

 アシックスというメーカーが、このような創業者によって作られ、今もその精神を受け継ぐ人たちによって、魅力あふれる商品が作られているのは、粗業者が残した精神だと思いました。

出典:アシックスホームページ、鬼塚喜八郎「失敗の履歴書」より

まとめ

 今回はアシックスについてご紹介しました。まとめると以下の通りです。

◎外国人株式保有割合は42.7%
・その他製品業界平均を上回り、海外投資家の人気が高い。
・また、海外の売上比率も70%と高いことも、外国人投資家人気の要因となっていると考えられる。

◎今季売り上げ高は大幅な増収増益を見込む。
・東京オリンピック出場選手のウエア供給、オリンピック前後のスポーツ需要の高まりで上昇し、今季12月末決算見込みは増収増益見込みとなっています。
・PERは80倍を越えていますが、11月に発表の第三四半期で今季の増収増益が確定的となれば、さらなる株価上昇を証券アナリストは見込んでいます。

◎スポーツが世の中を良くするという創業者哲学がしっかりと継承されている企業であり、海外を始めとした他のスポーツブランドに引けを取らない日本が誇れるスポーツメーカー

 今回は、スポーツメーカーのアシックスをご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

 アシックスのシューズについては、どのような特徴かある程度知っていましたが、どのような企業かは、今回調べるまで全く知りませんでした。

 株式投資を通じて、いろいろな企業を調べる機会が多くなりましたが、毎回調べ終わる度に、日本はまだまだ捨てたものじゃないと感じます。

 改めてアシックスのスポーツ用品を愛用していきたいと思いました。

 最後に、この記事がみなさんの投資の参考になったら嬉しいです。

 また、このブログが少しでもお役に立てたらTwitter、フォローいただけると嬉しいです。

 次回もお楽しみに。それではまた(^_^)/~

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