みなさんこんには😊
日経平均株価が30,000円を超えています。
新政権誕生による日本経済回復への期待が、日本株買いを盛り上げているようです。
日経平均の上昇とともに注目されているのが、日経平均株価銘柄の入れ替えです。
いわゆる日経225銘柄の入れ替えですが、9月6日に日本経済新聞社より発表され、キーエンス、村田製作所、任天堂を新たに採用し、日清紡ホールディングス、東洋製缶グループホールディングス、スカパーJSATホールディングスが除外されることとなりました。
採用開始は10月からです。
ちなみに、昨年の日経平均の銘柄入れ替えでは、ソフトバンクグループ子会社のソフトバンクが新規採用され、日本化薬が除外となりました。
毎年必ずというわけではないようですが、一年に一度このタイミングで定期入れ替えがあることは勉強になりました。
ところで、
日経平均の銘柄選びについては、今年から新しい選定基準で採用されているのが特徴です。
それでは、その新基準とはいったいどのような内容なのか?
また、日経平均入れ替えは何故こうも一大イベント化しているのか?
簡単解説で勉強していきたいと思います。
日経平均株価銘柄の組み換え新基準について
そもそも日経平均株価とは何?
日経平均株価とは、東証一部に上場されている銘柄のうち、代表的な225銘柄の株価を平均したものです。
平均株価は、株価を単純合計して銘柄数で割った単純平均価格ではなく、株価の連続性を保つように修正平均した株価です。
また、日経平均株価は、値がさ株(株価の高い株)の影響を受けやすいという特徴があります。
日経平均の銘柄数が225と少ないことが値がさ株の影響を受けやすい理由です。
よって、海外の投資家などからは、東京証券取引所全体の動きを反映していない「歪んだ株価指数だ」と、批判が多いようで、東証株価指数(TOPIX)の方が重視されているようです。
株価の連続性を保つ修正のみなし額面とは?
新規組み入れの株が値がさ株だった場合、単純に合計して割ってしてしまえば、市場が動いていないのに、平均価格が勝手に上昇してしまいます。
この弊害をなくすため、みなし額面による修正計算が行われます。
みなし額面とは、昭和56年〜2001年9月まで採用されていた株券の額面価格制度のことで、2001年10月以降、廃止されましたが、日経平均の株価修正のために使用されている手法です。
ちなみにこの制度が廃止された理由は、取引単位が株式の額面5万円を1取引単位としていたため、個人投資家参入の妨げになっていたためです。
もう少し詳しく説明すると、2001年10月まで、株式発行時の額面価格は、5種類(無額面=5万円、20円、50円、500円、5万円)あり、どれも最低取引単位の5万円以上でしか取引できず、株式額面50円であれば1,000枚、500円であれば100枚が購入の最低条件だったため、個人投資家にとって株式投資は、ハードルの高い世界でした。
これを改善するため、2001年10月以降、株券の取引単位は企業が決めることができるようになり、更には5万円縛りもなくなり、現在は誰もが少額から株投資できる環境に改善されました。
以下は、今でも使用されているみなし額面のCSVデータの一部で、日経新聞のホームページに掲載されています。
新規株式の組入による日経平均株価の影響を修正するためには、株式単位が簡単に分かる、みなし額面での計算が都合よく、制度が変わっても使われることとなりました。
みなし額面による株価修正方法として、各銘柄の株価を、設定されたみなし額面で除し、その価格に旧50円額面を換算して株価を修正します。
例)日本水産627円÷ 50円(みなし額面)×50円=627円
マルハニチロ2,624円÷500円(みなし額面)×50円=262.4円
日経平均の株式価格は、面倒な修正を行って株価の平均を保っているようです。
このような計算で銘柄ごとの格差を少なくして合計したものを除数で割ったものが、日経平均株価となります。
除数とは何か?
一方、みなし額面で調整した株価の合計を採用銘柄数の225で割れば、適正な日経平均となるわけではありません。
日経平均株価で分子となる銘柄毎の格差を、みなし額面で修正したように、分母についても修正が必要となります。
その理由は、企業の株式分割や株式併合などで、分子となる株式数が減ったり増えたりすると株価にも影響してしまうためです。
つまり、相場が動いていないのに、株式数の変化で平均価格が変わってしまうと、指標の信頼性が下がるためです。
この影響をなくすために、除数を用います。
除数の出し方は以下の通りです。
具体例で解説すると、例えばABCの3銘柄で構成される指標があったと仮定して、株価をそれぞれA1,000円、B500円、C600円とした場合、平均株価は
(1,000円+500円+600円)÷3銘柄=平均株価700円となります。
ここで、A社が、株式分割(増資)を行い、株式数を2倍になったとすると、理論上A社の株価は
1,000円÷2=500円となります。
あらためて、株価の平均を計算すると、
(500円+500円+600円)÷3銘柄=平均株価533円と値下がりします。
相場の関係なしに、株価が下がったことになります。
これでは、指標の信頼性が下がってしまうので、700円の平均株価を維持するには分母を調整する必要があります。
つまり、以下の赤の数字の分母(X)を修正する必要があります。
(500円+500円+600円)÷X=平均株価700円
X=(500円+500円+600円)÷株価700円=2.285
この2.285が除数となり、1,600円を2.285で割ると700円となります。
このように、分母を修正することで平均株価に影響が出ないよう調整された分母を除数といいます。
ちなみに、日経プロフィルの冒頭右のもっと詳しくを参照すると、今現在の除数を確認できます。
日経平均の株価算出のルール変更
長々と説明しました日経平均株価の修正方法ですが、2021年10月1日以降、日経平均株価の算出は「みなし額面」に代わり、「株価換算係数」で調整した株価で計算されることが、7月5日に発表されました。
主な変更点は以下の通りとなります。
【2021年10月より】
①みなし額面を株価換算係数に変更する。
②新規採用する銘柄に株価換算係数を設定する。
③定期見直し時の入れ替え銘柄数を3銘柄までとする。
【20022年4月より】
銘柄選定の対象を東証一部から東証プライム市場とに変更する
【2022年6月より】
除数の桁数を小数点3位から8位に変更する。
株価換算係数とは何?
この係数は、組入の採用価格には原則「1」が設定されます。
ただし、基準日時点(7月末)で、当該銘柄の株価が日経平均構成銘柄の採用株価合計の1%を超えている場合は、「1」以外の値(0.1〜0.9)を設定する。
意味不明だと思いますので、解説します。
計算式は以下になります。
株価換算係数=日経平均構成銘柄の採用株価合計×1%÷新規採用銘柄の株価
※株価は基準日時点(7月末)、切り捨てで小数点以下第1位まで
尚、既存の日経平均構成銘柄は、「みなし額面」を基準に「株価換算係数」が設定されるため影響はないとのことで、新規採用に適用されるということです。
例)
株価換算係数計算の前に、日経平均構成銘柄の採用株価合計を以下の式から算出します。
日経平均株価=日経平均構成銘柄の採用株価合計(X)÷除数
30,181.21円=X÷27.769 ※株価も除数も9月8日時点のものを使用。
X=30,181.21円✕27.769=828,102円
例えば、今回新規組入られた任天堂株価を例に、株価換算係数を計算すると、
任天堂株価=54,650円 ※9月8日時点の株価を使用。
株価換算係数=828,102円✕1%÷54,650円=0.15→小数点0.1以下切り捨てのため→0.1
となります。
よって、新規に組み入れられる修正株価は54,650円✕0.1=5,465円となります。
株価が高い値がさ株でも、このような計算式を用いることで、歪みが発生することなく、日経平均株価に組み入れられることになります。
日経平均株価の組み換えが一大イベント化する理由とは?
結論から言うと、新規採用銘柄の株価が上がるからです。
その理由として、日経平均株価を指標とする投資信託やETFを販売する資産運用会社が、日経平均株価の組み換えに合わせ、自社の投資信託やETFの商品の組み換え作業で、新規採用銘を大量に購入するためです。
これは、投資家のみならず、証券会社にとっても取引によって手数料を稼ぐチャンスとなるため、双方の重要なイベントと捉えられています。
日経平均株価に連動する国内ETFだけでも以下の銘柄があります。
以前、このブログで紹介した、ラッセル1000の入れ替えイベントと同じ理由です。↓
例年9月の上旬に発表となる日経平均株価の新規採用銘柄予想は、7月頃から加熱し始め、予想合戦でイベント化します。
今年の7月に改定された、日経平均株価の新規採用銘柄の新ルールは、今まで敬遠されがちだった値がさ株も、採用されやすくなり、組み換え銘柄の上限も3銘柄に設定されるなど、日本版ラッセル1000イベントのような投資活動の盛り上がりを期待した内容になっています。
まとめ
今回は日経平均株価の内容とイベント化の理由について勉強しました。
まとめると、
◎日経平均株価とは ・東証一部に上場されている銘柄のうち、代表的な225銘柄の株価を平均したもの。 ◎日経平均株価の算出方法とは ・2021年10月より、株価換算係数で修正した株価の合計を、除数で割り返して算出する。 ◎日経平均株価の組み換えがイベント化する理由は ・日経平均株価指数に連動する投資信託やETFを販売する資産運用会社の銘柄変更に伴う一時的な爆買発生で株価が上昇し、投資家、証券会社ともに稼ぎ時と考えられているため
日経平均株価は、S&P500ほどでないものの、日本を代表する株価指数に変わりは無く、指数の信頼性を高めるため、様々な修正が加えられていことが分かりました。
株価は30,000円からどの程度まで上がるのか、注目していたいと思います。
逆にアメリカがデルタ株拡大による経済回復のペースダウンで、株価が停滞気味になっています。
値下がりはチャンス、値上がりは警戒との認識で、ともに賢い投資家を目指していきましょう。
今回も最後まで、お読みくださりありがとうこざいました。
この記事が、みなさんの参考になったら嬉しいです。
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次回もお楽しみに。それではまた(^_^)/~
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