みなさん、こんにちは😃
先週末アメリカの9月の雇用統計が発表され、前月比50万人の予想を大きく下回る19万人の結果となりました。
新型コロナウイルス感染症によるアメリカ経済の回復が、デルタ株などの影響で足踏みしているようです。
一方、失業率については、前月から0.4%回復して、4.8%と改善しました。
この状況下で11月のテーパリングを想定してか、11日以降のアメリカの株価は総じて下落、預金金利の上昇を見込むドル買いが進み、1ドル113円になりました。
雇用環境の回復が弱い状況のなか、11月に予定通りテーパリングが実施されるのか、FOMCの今後の姿勢に注目が集まりそうです。
さて、外国人投資家の投資先をマネてみよう企画の8回目は、ニッパツの愛称で呼ばれている日本発條(にほんはつじょう)という会社です(以後、ニッパツ)
ニッパツは、自動車用バネとハードディスクドライブ(HDD)用バネのシェアで世界一であり、外国人投資家の株式保有比率も大きい企業となっています。
それでは早速、どのような会社か見ていくことにしましょう。
外国人株式保有割合は31.1%
日本証券所グループが2021年7月に発表した、2020年度株式分布状況調査の、外国人法人等の業種別保有比率等を見ると、ニッパツの属する金属製品業界の外国人株式保有割合の平均は29.9%に対して、ニッパツの外国人株式保有割合は31.1%となり、これを上回る比率になっています。
また、金属製品は、海運業に次ぎ、外国人株式保有比率が増加している業界であり、投資先として注目されている分野であると考えられます。
ニッパツの投資指標は日経平均を下回る
投資指標であるPER、PBR、ROEはどれも日経平均を下回っています。
これはどういうことなのでしょう?
1.PER・・・10.60倍
・一般的に日経平均より低ければ、割安株と見ることができます。
・ニッパツの今年度末の一株あたりの純利益予想は前年比でプラス予想ですが、株価はそれほど値上がりしていないため、このような値になっています。
・株価の推移を調べて驚いたのが、この10年間、株価の上昇はありませんでした。
・株価が上がらないのは、投資家へのアピールが弱いのか、アピール材料が少ないのかどちかが考えられます。
・ニッパツのホームページを見る限り、業界1位や世界一という文言は見当たりませんでした。
・むしろ自動車業界誌など、自社以外で触れられているだけです。
・一般的に部品メーカーは、販売先の業績や方針に左右され、厳しい開発要求などに常に対応していかねば生きていけない現実があります。
・どんなに企業規模が大きくても、下請け的立場は変わりません。
・そのような立場で、売上やシェアが世界一とアピールしても、自分達の力で勝ち取った売上でないという姿勢が根底にあり、表立ってアピールしないのかもしれません。
・販売先と契約している限り売上は約束されますが、要求に従わない場合、売上できる保証はありませんので、厳しい条件でも、販売先に従うしかないのが、悲しい状況であると考えられます。
・このあたりは、先にご紹介しましたどんな分野からもニーズがある半導体メーカーのSUMCOと違うところです。
・参考まで、ニッパツの業績資料見ると、これを裏付けるような結果になっていました。
更に、事業別の売上と収益の関係を見ると主力の自動車関連事業の収益が減少し、それ以外の事業で収益が増加傾向となっているのが分かります。
ニッパツでは、過去にはボーリング場も経営していたようで、柱となる事業の多角化への危機感が、現状の売上を維持している要素になっています。
2.PBR・・・0.65倍
・1倍以下なので、通常ならば割安株と言えますが、PERの分析同様、株価は長期で値上りしておらず、主力の自動車向け事業の収益低下も続いています。
・自動車向け事業の収益増加が始まり、株価も回復傾向となった時まではこの値だけで、株式購入を判断するには難しいです。
3.ROE・・・6.1%
・日経平均の9.2%を下回る収益効率となっています。
・ROE=PBR÷PERの関係なので、ROEが大きくなるためには、PBRが大きくなるか、PERが小さくなるかですが、これは株価が高くなり、利益が回復しないとROEが高くならないことを意味します。
・自動車向けの売上比率を精密機器や、他の事業で上回らない限り、この値は同じ水準で推移するものと考えられるので、現状はなかなか厳しい状況であると考えられます。
4.売上、営業利益、経常利益、当期利益、配当予想
・前年比で、どれもプラス予想となっています。
・前年度がコロナの影響で売上など、総じて落ち込みましたが、今年度はワクチン接種で経済回が見込まれることが、プラス要因であると考えられます。
以上、株価指標での判断ですが、この内容を見る限り、ニッパツへの投資方法は、中長期的なものではなく、売上情勢を見ながら、短期で売買するほうが向いているのではと感じました。
投資初心者には、投資が難しい先だと感じます。
ニッパツとはどのような会社か?
ニッパツは、自動車向けスプリング、シート、また、ハードディスクドライブ(HDD)用のサスペンションなどを製造する会社です。
企業ホームページに製造する商品がわかるページがありましたので、掲載しておきます。
ニッパツは、日本発條(にほんはつじょう)という名前から、NHKの通称を使用しています。
NHKというと、日本放送協会がすぐに思い浮かびますが、調べるとニッパツのほうが先に名乗っており、日本放送協会が後発です。
日本放送協会がニッパツに了承をもらい、お互い呼ぶようになったとのことです。
もしニッパツが断っていたなら、どんな呼び名になっていたのでしょうか。面白いエピソードです。
ニッパツは2019年で創業80周年を迎えています。
80周年を記念し、ホームページの内容を抜粋して創業から現在までの動を簡単に解説します。
創業〜現在までのトピックス
創立は、東京・芝浦にあった「芝浦スプリング製作所」を買収したことに始まり、同社は中野政雄氏が個人企業としてはじめ、自動車の補修用のばねからスタートし、組付用のばねに業容を拡大、その後、会社組織化しました。
初代社長となる楓英吉、井上清、坂本壽の三氏が、自動車用のばねに着目し、起業意欲を発揮して事業計画を練り、最も近道ともいえる既存のばね工場の買収にとりかかり、昭和14年(1939年)2月、大阪製鋼所の日東工場を買収し、ばねの圧延工場とした後、二度の増資などを経て、同年9月8日、社名を「日本発条株式会社」として創業しました。
東京・芝浦での創業後、設備拡充として大きな量産工場をつくるため、資本金の2倍に当たる300万円の巨額な費用を投じ、クレーンやコンベア、自動化機械など、可能な限りの最新鋭設備を導入しまし、昭和15年(1940年)、横浜市の磯子に工場を新設し、本拠地も磯子に移動します。
「神武景気」と称された昭和30年(1955年)からの大型景気とともに、日本経済の本格的な拡大期とともに自動車メーカーの積極的な設備投資に歩調をあわせ、設備投資を続けていく一方、ばね業界のシェア争いが激しさを増してきます。
「過当競争による共倒れを避ける」ため、1958年(昭和33年)、業界大手の大同製鋼のばね部門との合併し、大同発条を設立します。
米国ロックウェル社との技術提携により、生産性向上と軽量化が図られるSばねに切り替え、これを他社に先駆けて生産するようになり、 1964年(昭和39年)、ウレタン一体発泡シートの生産を開始し、シート事業を拡大していきます。
1963年(昭和38年)、自動車部品メーカーとしては初めて、タイに進出します。
タイニッパツはその後、各地に拠点を設け、シート一貫生産を開始したのを始め、コイルばねや各種精密ばねのほか、自動車分野以外にも業容を拡大して、HDD用サスペンションなど、主たる事業を手掛け、ニッパツグループの最重要拠点の一つとして躍進していくことになります。
主要事業以外にボウリング場やタクシー会社の経営を行っていました。
このことは、創業に携わった坂本壽3代目社長や藤岡清俊4代目社長が、「ばねの製造業だけでは将来が厳しい」との危機感から事業の多角化を推進したことに始まります。
その代表的なグループ会社が「金港ボウル」と「金港交通」で、「金港ボウル」は一時期のボウリングブームで営業したものの後に閉鎖しましたが、タクシー会社の「金港交通」はグループ会社から分離独立し、現在も営業を続けています。
また、ゴルフシャフトや金属バットを開発・生産する「日本シャフト」や、船舶製品を扱う「ニッパツ・メック」などについては、創業者の危機感を受け継いだ事業として、生き残っています。
立ち遅れていた精密ばね分野へ本格的に進出するため、2工場体制を構築しましたが、小物ばねは、懸架ばねやシートと異なり、大型設備を必要としないことから、少額資金で事業を興せるため、小規模の競合企業が乱立している状況にありました。
価格競争では太刀打ちできないため、より精密な製品、より先進的な生産技術で勝負するべく最新鋭の高精度な工作機械や成形機を大量に設置することとなりました。
昭和46年(1971年)、それまで売上高比率の高かった自動車分野に依存するだけでなく、「既存の自動車関連商品以外の売上高を総売上高中の40%にする」という中期計画を掲げ、事業の多角化に向けて歩みだします。
平成3年(1991年)、本社、横浜工場、川崎工場、根岸分室の各部門、日発グループ中央研究所が全て、横浜新事業所に移転し、今日に至っています。
2000年代、国内では、グループ会社の再編などを行い、幅広い分野で、それぞれ競争力の高い製品を送り出し、業容を拡大。海外では、中国などに懸架ばね、自動車用シート、精密ばねのそれぞれの拠点を設立しています。
2010年代に入ると、フィリピン、インドネシア、メキシコなど、それまで進出していなかった国や地域にも新拠点で、グローバル対応を加速させています。
2015年には、欧州メーカーへの拡販の足掛かりとして、東欧での初となる生産拠点をハンガリーに設立しています。
まとめ
●投資先としてのまとめ ①外国人投資家の株式保有比率が、31.1%と金属製品業界の平均を上回っている。 ②自動車用バネ、ハードディスクドライブ用スプリングの世界シェアはNo.1である。 ③株式指標のPER、PBR、 ROE全てが、日経平均以下のため株価に割安感がある。 ④但し、10年前から株価に大きな動きは無いため、これを安定感と捉えるなら、毎年の配当金分、預貯金するよりはニッパツに投資が良いと考えます(参考意見であり、投資は自己責任で行っていただくことを申し添えます) ⑤個人的には、自動車関連事業以外の事業が成長し、主力となれば、企業の自主性も高まって投資家からも注目され、株価の上昇も見込めると考えます。それまでは、様子見と言ったところです(あくまでも中長期的投資目線での意見です)
今回は、金属業界で、自動車関連部品メーカーのニッパツという企業について紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。
毎回、様々な業界の企業を分析する度に、日本には本当に、隠れた大企業が多いなと感じます。
その一つ一つの企業に、それぞれ深い歴史があり、国内をはじめ世界中に必要とされる素晴らしいサービスを提供していることが、本当に日本人として誇りに思います。
わたしは、努力が必ず報われるとは限らない。しかし努力の先にしか成功はない。と言う言葉が好きです(同じような意味の言葉がたくさんあると思います)
そういう意味から、かつては小さな町工場や数名の集まりに過ぎなかった会社も、創業者の強い意思と従業員のたゆまぬ努力で、世界的な大企業になっているケースは少なくありません。
様々な会社の生き様を知るうちに、自分も少しのことで、くじけてはいけないと思う様になり、もっと努力をして頑張ろうという気持ちにさせてくれます。
この記事が、みなさんの参考になったら嬉しいです。
また、このブログが少しでもお役に立てたらTwitter、フォローいただけると嬉しいです。
次回もお楽しみに。それではまた(^_^)/~
コメント