外国人投資家が好む日本企業は買いなのか?投資初心者もマネしたい投資先(金属製品業)⑨・・・トーカロ (3433)

外国人投資先特集

 みなさんこんにちは😃

 この企画9回目は、「溶射」による表面改質の分野で世界トップクラスの技術力と実績を誇る加工メーカーのトーカロです。

 金属業界の会社分析をしていると、今まで50年以上生きてきて全く聞いたことのない企業ばかりですが、トーカロもその一つです。

 でも溶射って、何?

 簡単に言ってしまうと、特殊な塗装と言えます。

 更にいうと、様々な物質を熱で溶かして、いろいろな物に吹きかけ、吹きかけた物の性質を変えてしまうということです。

 トーカロのホームページを見ると、このような溶射で塗装して物質の表面の性質を変えてしまうことを表面改質技術というそうです。

 なんか、専門分野の言葉ばかりが飛び交い、難しそうな世界かなと思いますが、スペシャルな塗装屋さんというお気楽なイメージを持っていただければと思います。

 それでは、早速トーカロとはどのような会社なのか見ていくことにしましょう。

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外国人株式保有割合は33.1%

日本証券所グループが2021年7月に発表した、2020年度株式分布状況調査の、外国人法人等の業種別保有比率等を見ると、トーカロの属する金属製品業界の外国人株式保有割合の平均は29.9%に対して、トーカロの外国人株式保有割合は33.1%となり、これを上回る比率になっています。

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 また、金属製品は、海運業に次ぎ、外国人株式保有比率が増加している業界であり、投資先として注目されている分野であると考えられます。

トーカロの投資指標は堅調

1.PER・・・12.97倍

直近の日経平均数値と比較すると、低い値なので株価は割安と言えます。

 過去10年の株価推移を見ると、みごとな上昇基調となっています。

 この数値を見る限り、株価は一時の雰囲気で上昇しているのではなく、会社の業績が裏付けとなって上昇しているものと考えられます。

 株価は妥当性があり、PERの信頼度も高いと言えます。

2.PBR・・・1.7倍

・PBRは日経平均と比較すると多少割高感がありますが、株価が上昇基調なので、この数値も妥当性があると言えます。

3.ROE・・・13.1%

・ROEは多少ではありますが日経平均より高い値です。数値的には物足りないものの、資産からの利益効率は良いと言えます。

・外婚人投資家が最も重要視する指標がこのROEと言われており、この数値が高いと投資からの利益効率が高く、儲け上手な企業と言われています。

4.売上、営業利益、経常利益、当期利益、配当金など今年度末予想はプラス

・2022年3月末の今年度の成績は、増収増益見込みとなっています。

・トーカロのホームペーシで一般公表されている2021年4月〜6月の第1四半期の決算短信を見ると、主力の半導体・FPD(フラットパネルディスプレイ)分野の取り扱い増加、鉄鋼、その他の分野は予想を上回る水準で推移し、増収増益となったと記載されていました。

・ちなみに、トーカロのセグメント別売上の推移は以下の通りです(トーカロホームページ資料)

出典:トーカロホームページより
出典:トーカロホームページより

  上記資料は、2020年度のものですが、2021年度はいずれも、主力事業が伸長しているので、良い傾向だと思います。

 ここで、トーカロの歴史と主力事業を調べてみたいと思います。

トーカロの歴史

 それでは、トーカロの歴史を見ていくことにしましょう。

西暦和暦トピックス補足
1951年昭和26年東洋カロライジング工業設立中平元俊が神戸に設立
1955年昭和30年住金和歌山にてランスパイプテスト採用創業者逝去
1958年昭和33年溶射部門スタートと拡張溶射装置購入
1959年昭和34年関東でのランスパイプ需要に対応するため東京工場設立
(ランスパイプは溶射加工され酸素やガスを吹き込むパイプ)
東京工場設立
1969年昭和44年カロライズから溶射への転換
(カロライズとは金属の表面に腐食を防ぐ目的で
アルミニウムの薄い膜を形成する方法)
溶射専門の小倉工場設立
1971年昭和46年プラズマ溶射導入と各地での工場展開プラズマ装置導入。
水島、名古屋工場設立
1973年昭和48年中平宏社長就任とオイルショックオイルショックで経営難
カロライズ終焉
1981年昭和56年社名を東洋カロライジングからトーカロに変更
1982年昭和57年溶射、PTA、ZAC、TDを事業の四本柱にする
(PTA、ZAC、TDとは特殊な表面加工方法のこと)
販売業態を絞らない
全天候型企業を目指す
最新鋭工事用の明石工場設立表面加工業界を代表する
企業になる
1983年昭和58年最先端産業分野へ適用拡大IBMから生産技術賞受賞
高級機や発電部品へ適用
1990年平成2年溶射技術開発研究所の設立で技術開発の強化岡田科学賞受賞
1992年平成4年中平晃新社長就任中平宏社長逝去
1995年平成7年阪神大震災被災によりほんしゃ事務所倒壊により新社屋完成
1996年平成8年株式店頭公開
2001年平成13年海外企業からの買収阻止のため、経営陣とジャフコが
親会社の日鐵商事から持株買収(MBO)して株式を非公開
にする
上場廃止
2002年平成14年本社と技術研究所でISO14001認証取得
2003年平成15年東証二部に上場再上場
2005年平成17年東証一部に移行、中言に初の子会社設立海外発進出
2006年平成18年町垣新社長就任
2008年平成20年新アイテム開発のため明石に薄膜事業用の拠点設立
2011年平成23年宮城技術センターサービスを新設
また、中国、台湾に半導体・液晶関連会社を設立
初の東北進出
2012年平成24年タイに進出、鉄鋼・自動車産業の東南アジア戦略
2013年平成25年三船新社長就任
2015年平成27年米ロスアンゼルスに北米半導体市場への対応のため会社設立
2017年平成29年インドネシアに会社設立
本社を神戸市東灘区から神戸市中央区へ移転

 トーカロの歴史を見てみると、カロライジングから溶射へ技術を転換し、時代のニーズに合わせて様々な技術を習得し、買収の危機を回避して再上場するなど、波乱万丈の人生を見るような感じです。

 ちなみに、カロライジングとは、金属の表面に腐食を防ぐ目的でアルミニウムの薄い膜を形成する方法で、溶射の一つと言えます。

 また、投資家目線で言えば、業態を絞らない全天候型戦略や、最先端産業分野への方向転換は、一業態に経営が左右されないという意味で、とても重要な判断であり、その企業の将来性を考えた場合、柱の多様性はとても重要な要素となると思います。

 先にご紹介しましたニッパツは、自動車産業に軸足があるため、自動車産業の意向や景気に左右されやすく、自らイニシアチブを取れない面がありますが、トーカロのように、多方面で様々な柱を持っていれば、業種の傾注が少なく、土台が安定した経営が期待できます。

 トーカロの技術について2021年3月の会社説明会要約テキストを元に簡単にご紹介したいと思います。

トーカロの技術

 まず最初に、トーカロが世界に誇る技術の溶射について見てみましょう。

出典:トーカロ2021年度決算テキストより

 溶射は、ある材料を溶かしながら吹きつけて、被射体にコーティングを施すということです。要は、溶かしてくっつける単純な作業とのことです。

 これを顧客のニーズ合わせた皮膜を付けていけるかというところがポイントのようです。

 このように、溶射によってその材質の表面を変えることを表面改質というそうで、以下に解説します。

出典:トーカロ2021年度決算テキストより

 ある部材にいろいろ機能を付与するコーティングを行うことで、その機能を付与した高付加価値の部品をつくり出します。

 顧客ニーズとしては、製鉄や製紙、工場の生産設備の機能や耐久性を上げるものと、製品に組み込まれる部品、例えば半導体の場合、半導体製造装置用のチャンバーにコーテ ィングを施し、その製造装置自体の価値を上げるというもになります。

 こうした技術を提供する分野は以下の通りと多種多様となっています。

出典:トーカロ2021年度決算テキストより

 半導体需要の増加に伴って、半導体関連の事業が47%と前期から10%ほど伸びているようです。

出典:トーカロ2021年度決算テキストより

 またトーカロでは、半導体分野の売上比率が上がっているため、当面半導体需要に伴った売上が増加していくとの予想を立てております。

出典:トーカロ2021年度決算テキストより

  但し、これらテキストを説明する社長のコメントでは、トーカロの成長戦略の一丁目一番地は、新しい商品の開発と新しい市場をいかに創出していくか、こ れにかかっております・・・と語っています。

 このことは、トーカロの全天候型営業戦略からも分かる通り、一つの事業に安住してはならないという企業風土や危機感といったものがあるように思います。

 次のターゲットについて、代表である三船社長のコメントは以下の通りです。

①2大産業としては半導体・FPD、この部門は、やはり次世代皮膜の技術 開発、特に回線幅が N5 であるとか、N4、N3 とかいう数字がいわれていますけれども、それ に対する技術的対応と、市場がだんだん拡大してきておりますので、その部分をどう捉えていくか。

②菅総理が昨年の秋、2050 年にゼロエミッションというか、カーボンニュートラルの宣言をされましたので、それに向けて今、世界も同じような形でバイデンさんも動いていますので、この環境・エネルギーがキーワードになってきているのて、その分野には溶射の出番が多く、そこへの対応をどうするか。

                                  ↓
この環境・エネルギー問題が、この半導体と並ぶ二本の柱になるべく、今後 10 年間ぐらいはしっ かり取り組んでいかなければいけないと考えている。

 時代に沿った戦略をしっかり考えられているので、投資家目線としても好感が持てるコメントではないでしょうか。

 You Tubeのアクションラーニングオンラインセミナーという番組で、トーカロの企業紹介があましのたので、動画を貼っておきます。興味ある方は御覧ください。

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まとめ

 それでは、トーカロのまとめです。

外国人株式保有割合は33.1%となっている
・外国人投資割合の金属業界平均は29.9%を上回る。

◎溶射というニッチな世界で世界トップレベルの技術を持つ。
・溶射はどの分野にも欠かせない技術であり、国内トップレベル技術はニーズが高い。

◎株価が上昇基調であり、投資指標の裏付けもしっかりしている。
・PER12.97倍、PBR1.70倍、ROE13.1%は日経平均より良い値であり、一株1,237円は購入しやすい価格。

◎代表のビジョンが時代の変化を捉え、対応していこうという意思が感じられる
・半導体の需要増加及びゼロ・カーボンへの対応への対応を考え対応していこうとしているため、投資家目線で好感がもてる。

 今回は、溶射という特殊な技術を武器に世界で活躍するトーカロという企業をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。

 今まで生きてきて溶射という言葉は初めて知りましたが、身近な物に使用されていることが分かり、親近感が沸きました。

 今後の活躍が楽しみな企業でした。

 この記事が、みなさんの投資の参考になったら嬉しいです。

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 次回もお楽しみに。それではまた(^_^)/~

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