株主優待を追い求めたら、株主虐待になっていた・・・そうならないために学ぶべき基礎知識とは?

情報いろいろ

 みなさんこんにちは。

 巷で人気の株主優待について、このブログでも少し取り上げて見ようかなと思い、ここ数日勉強しておりました。

 みなさんにとって、株主優待は、将棋の桐谷さんや有名主婦など、楽しそう、今すぐ自分もやってみたいなど、お得感たっぷりで、良いイメージの制度だと、思っていることと思います。

 わたしも、そんな感じでいろいろ調べてみましたが、調べていくうちに、ある疑問が浮かんできました。

 株主優待の商品って・・・以外とショボいな。

 ふるさと納税の方がいいかも・・・。

 この商品を得るためだけに、数万から数十万の株投資をするのはリスクが高すぎないか?・・・などです。

 株主優待って、やり方によっては、株主虐待?になるかもかも・・・などと思ってしまいました。

 それは、いったいどういう理由から思ったのか?

 投資初心者の、いち意見として、参考までご覧いただければと思います。

 それでは、早速やってきましょう。

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株主優待の基礎知識

株主優待とは何?

 株主優待とは一体なんでしょう?

 それを説明する前に、通常、株投資で得られる利益は、2つあります。

 株価の値上がりによる利益(キャピタルゲイン)と、配当金支払いによる利益(インカムゲイン)です。

 キャピタルゲインは、証券市場での株取引で決まり、インカムゲインは、会社の業績によって会社側が決めます。

 これに対し、株主優待とは、会社の外部から強制されたものではなく、また、法律で決まっているものでもなく、会社が、自分たちのお金で、自分たちの株式を、権利付最終日と呼ばれる日に、一定数持っている株主に贈るプレゼントのようなものです。

 日本の株投資では、株主が得られる利益としては、株の値上がり益(キャピタルゲイン)、配当金(インカムゲイン)、株主優待の3つとなります。

 何故日本の株投資ではというと、

 株主優待は日本特有の制度で、海外で実施している企業は無いと言われ、海外の投資家が、株主優待のような物ではなく、配当金の増加、つまり、より多くのお金の支払いを求める声が多いからと言われています。

 日本でも、株主優待のある無しに関係なく、高配当を出している会社は人気があります。

 これら3つの利益は、決める要素を加えて見てみると、理解しやすいと思います。

項目会社で操作できる株主が操作できる決める要素
株価の値上がり益株主の期待や思惑で決まる
配当金一年間の業績を見て会社が決める
株主優待株を持ってほしいという会社の思惑

 つまり、株主優待とは、それを発行する会社が、投資家に自分たちの株式を長く保有してほしいという思いが現れたサービス、ということです。

 それでは何故、株式を長く持ってほしいのか?

 会社の業績を上げて、株の値上がり益や配当金で、還元すればいいのではないかと思いますよね。

 株式優待を出す会社全てとは言いませんが、その会社のサービスが今ひとつで、あまり目立たない、CMを打つお金も無い、業績も横ばいで、今後上がる要素がない、というような会社は、上場企業と言えども、たくさんあります。

 上場企業として生き残っていくためには、証券市場の上場基準を満たさなければなりません。

 以下は日本の証券市場の上場基準を参考まで載せておきます。

 東証一部がダントツで厳しい条件であることが分かります。

項目マザーズ東証二部
(JASDAQも同じ)
東証一部
流通株式時価総額5億円以上10億以上100億以上
時価総額なしなし250億以上
利益または
売上高
なし最近一年間の利益が1億円以上最近2年間の利益の総額が25億円以上
または、
最近1年間の売上高が100億円以上かつ
時価総額が1,000億円以上

 少し話が脱線しますが、2022年4月4日から、東証の上場区分が変わります。

 具体的には、東証第一部に相当する市場を「プライム市場」、東証第二部とJASDAQスタンダードに相当する市場を「スタンダード市場」、マザーズ市場とJASDAQグロース市場に相当する市場を「グロース市場」と位置づけします。

 区分変更の理由としては、もともと東証二部とJASDAQの基準は同じなため、投資家から改善を求められていたこと、更に、東証一部は、一度上場してしまえば、上場廃止や格下げ判断が緩いため、国内や海外の投資家に対して、市場の信頼性を高めるのが、区分再編の最大の目的のようです。

 来年以降、東証のイメージがどのように変わるか楽しみです。

 話を優待に戻します。

 上場している会社でも、単年度の売上が見込めず、収益も乏しい場合、株価は下がれば企業の時価総額も下がってしまうため、食い止める目的で使わるのが、株主優待という訳です。

 当たり前ですが、投資家が株主優待を求める場合、一定数の株式を保有しなければなりません。

 魅力的な株主優待を出す企業は、株主優待で投資家に株式を購入してもらうことを、ある意味、企業価値を保つための営業として考えています。

 つまり、素敵な株主優待を出せば、投資家は争って株式を購入し、その結果、株価が上がり→会社の時価総額が上がり→証券市場の上場基準を満たし→結果、企業価値も上がることに繋がります。

 株主優待は、魅力の乏しい会社にとって、企業価値を保つひとつの手段なのです。

 最近は、株主優待の人気の高まりを受けて、それまで株主優待をやっていなかった大企業も、やるようになっているようです。

 日本特有の文化として広がりを見せる株主優待ですが、ここから、今回の記事の本題に入っていきたいと思います。

株主優待だけが目的の株式投資は、本末転倒のハイリスク投資

 投資初心者の分際がっ・・・と怒られそうなタイトルですが、株主優待を勉強するうちに、ある疑問が浮かび、更に勉強すると、やっぱりそうかという結論に至りました。

 株主優待だけを求めると何故、本末転倒のハイリスク投資となると言えるのか?

 その理由は、株主優待を求める投資家の多くが、リスクの高い信用取引を行っているからです。

信用取引とは?

 過去ブログでも紹介しましたが、株式の信用取引とは、投資家が、証券会社からお金を借りて株式を購入する取引のことで、自ら用意できるお金(委託保証金といいます)の3.3倍を借りることが出来ます。

 例えば、100万円を委託保証金にできるなら、330万円まで株式取引が可能となります。

 自らのお金を担保に、証券会社の信用を得て、株式投資を行うこと、それが信用取引です。

 信用取引は、通常の株式を買う行為の場合、借入期間は証券会社よって様々ですが、大凡3年間と決まっています。

 また、信用取引では、売りから始める取引も可能で、期限は6ヶ月など、短いのが特徴です。

信用取引で株主優待を買うということはどういうことなのか?

 株主優待を信用取引で買うということは、いったいどういうことなのでしょう?

 実際の例をあげて説明すると分かりやすと思いますので、楽天証券の東映アニメーション(4816)の株主優待について見てみましょう。

 現在、一株23,650円です。

 図の赤枠に100株で1,200円相当のクオカード、1,000株で6,000円相当のクオカード、10,000株で14,000円相当のクオカードとなっており、それぞれ必要な株式金額を表示しました。

 1,000円のクオカード得るのに、約230万円必要なんですよ皆さん!

 14,400円のクオカードに必要な株式金額が、なんつぉ、2.3億円です。

出典:楽天証券より

 つまり、信用取引では、元手の3.3倍まで株式を買えるので、手元に100万円があれば、この東映アニメーションの100株を買うことができ、1,200円のクオカードが貰えるということです。

 そして、元手に1,000万円があれば、3,300万円まで投資できるので、1,000株購入して、6,000円相当のクオカードがもられます。

 もうお気づきかと思いますが、元手が無いなかで、信用取引で株主優待を買うということは、こういうことです。

 それも、オリジナルとは言え、クオカード数千円のために、信用取引でリクスをとる。

 東映アニメーションを責めるつもりはありませんが、もう少し、投資金額に対して優待の中身を豪華にできないものかと感じます。

 2.3億で14,400円のクオカードって・・・。

そして、楽天証券の株主優待画面に、この銘柄は以下のように表示されていました。

出典:楽天証券より

 番号別の解説は以下の表の通りです。

 ここで問題となるのは、⑥番の逆日歩と言われるコストです。

 先に説明の信用取引では、お金を3.3倍借りて株式を購入できるだけではなく、株式を借りることも出来ます。

 株式を借りる場面はどんな時かというと、空売りする場面です。

 空売りとは、株の値下がりが予想される場面で、買いではなく、売りの指示を証券会社に出して、株がある程度下がった時に、買い戻して、利益を出す手法で、相場の読みから判断することなるので、投資初心者には難しい投資方法です。

 わたしもやったことはありませんが、デイトレーダーや短期投資で利ざやを稼ぐ機関投資家には、あたり前に使われる投資手法です。

 空売りが買いよりも多くなった場面で、証券会社は大株主から株を借りるため、証券金融会社に、申請⇒証券金融会社は、証券会社の依頼に基づき、大株主に株式を借りる依頼⇒この時発生するのが、品貸料というコストで、数名の株主を対象に入札で価格を決めます。

 このコストで株式を借入れして、投資家に貸し出し⇒借りた投資家全員で、逆日歩と言われるコストを株の全保有者に支払います。

 これを説明図が、以下の通りとなります。

 ちなみに、浮動株とは、一般の投資家が証券市場で株の売買を行うことが可能な株のことで、浮動株に対して、市場に出ない大株主が保有する株を固定株と読びます。

 逆日歩の掛かる仕組みは以下の図で説明します。

  売りは買いで成立すること、注文から受け取りまで2営業日かかることを理解する必要があります。

 これが週で完結するは月曜と火曜の注文のみで、それ以外の曜日や連休が絡む場合、逆日歩が増えることになるので、空売は注意が必要です。

 以下の図は、水曜日に空売り注文した場合です。

 最終受け渡しが、月曜日となってしまうため、逆日歩は3日となり、金額も相当な額になることがおわかりいただけると思います。

 このように、信用取引で株主優待を得るためには、逆日歩というコストも考慮しなければなりません。

 ただでさえ難しい単一銘柄への投資を、証券会社に借入してまで行う意義が本当にあるのか、リスクと株主優待品の価値とのバランスをよく考える必要があります。

 ちなみに、上記で説明した逆日歩は、株式が下げ予想で、空売りする場合に発生し、逆に上げ予想の時は、証券会社から借りたお金で株式を買い増しするだけなので、逆日歩発生せず、日歩と言われる金利が発生します。

 上げ相場、下げ相場で信用取引を行う場合、このようなコストもかかることを十分に知った上で判断することが重要です。

まとめ

 今回のまとめです。

◎株主優待は、発行する会社が、投資家に自分たちの株式を長く保有してほしいという思いが現れたサービス

◎理由は、株主優待は、魅力の乏しい会社にとって、企業価値を保つ手段だから。

◎株主優待目的で、信用取引で株式を購入する場合、買い、売りともに、コストがどの程度かかるか知った上で、そこまでしてやる価値があるかどうかを判断する。

 ということです。

 株主優待は、お得な制度というイメージがあります。

 品揃えも豊富であり、自己資金の範囲で投資すれば、プラスのお楽しみということで、日本ならではのおもてなしが詰まった制度と思います。

 ただし、度が過ぎるとリスクを取った取引に繋がりかねないということ。

 ということで、今回は、信用取引で株主優待を狙うことは、相当なリスクがあるということをご理解いただけたと思います。

 ネットで、株主優待、逆日歩、大損と検索すると、株主優待獲得のために、数万から数十万の逆日歩がかかったという記事がゴロゴロ出ています。

 ⇒臘月案さんのブログにあった逆日歩大損記事です(参考まで)

 株主優待を進めていくうちに、必ず訪れる信用取引で高額投資という誘惑。

 ギャンブルにならない余裕のある株主優待ライフを楽しんで頂きたいと思い、注意点のみクローズアップしました。

 皆さんの投資ライフがより良いものになることを祈っております。

 この記事が、みなさんの参考になったら嬉しいです。

 また、このブログが少しでもお役に立てたらTwitter、フォローいただけると嬉しいです。

 次回もお楽しみに。それではまた(^_^)/~

 

 

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